お熱いのがお好き

曲げプレス機と鍛造ハンマーを足して 2 で割ったような
グスタフ・シェーネヴァイスは 1866 年に 4 名の従業員とハンマーを何丁か持って事業を始めました。後に国際的も高い評価を受けるようになる鍛造企業の誕生です。商業登記はドイツのハーゲン市で行いました。3 年間、卸問屋として営業した後、シェーネヴァイスはグリル装飾バーとローゼットの生産工場を建設します。後にスパナとその他製品が加わります。

現在のシェーネヴァイス社は、自動車産業のサプライヤーとして活躍しています。同社の顧客には、鉄道車両メーカーも名を連ねています。主力製品は、商用車用フロントアクスルおよびその他シャーシ部品、ステアリング部品とエンジン部品、さらに乗用車のパワートレイン部品です。ありとあらゆる種類の熱処理を提供し、600 人以上を雇用する同社の製品は世界中で利用されています。同社の顧客企業は、ドイツ、イギリス、フランス、スウェーデン、トルコ、米国に本社を置いています。

シェーネヴァイス社の2000 年の売上高は 1 億 2480 万マルクに達し、そのうち輸出は 3,720 万マルクにのぼります。VDA 6 Part 1 認証を取得した同社は、12 万平方メートルの敷地に年産約 4 万トン以上の鍛造能力を持つ工場を有しています。ここで重さ 1 ~ 140 kg、最長 2,000 mm の鍛造品が生産されています。

 

生産性と工程安定性をアップ

トラックやバスのフロントアクスルは重さ 80 ~ 180 kg で燃えるように熱く、シェーネヴァイス社ではこのハンドリング用に、KUKA 重可搬ロボット KR 350 を採用しました。この 6 軸ロボットは「アンドロマート」に代わるものです。「アンドロマート」はグリッパーとキャビンを装備したマニピュレーターで、1 直ごとに 2 名がオペレーターとしてこれを操作していました。アンドロマートの操作は大変な重労働だったため、2 人のうち 1 人がマニピュレーターを操作する間に、もう 1 人は休憩を取るか、もう少し楽な作業を行っていました。

「アンドロマートが古くなって頻繁に故障するようになったので、この切替えが必要になりました。それだけでなく、アンドロマートは多関節ロボットよりもはるかに遅かったですし。」と、鍛造第 1 工場長補佐のライナー・リーバーマン氏は KUKA ロボットに決定した経緯を語ります。「新しいコンセプトのメリットははっきりしています。生産性と工程安定性を長期的に向上させることができると同時に、1 直あたり 2 名の工員を削減できるのです。さらにハンドリングを自動化したため、工員が病欠して生産に支障をきたすことがなくなりました。おまけに、現在別の持ち場に移った工員が生産現場の人手不足を解消してくれています。」

 

鉄は熱いうちにハンドリングせよ

重可搬ロボットはアクスル製造の鍛造ラインに導入されています。ここでのシーケンスは、誘導加熱装置で鉄鋼を 1,250 ℃に加熱することから始まります。その後、鉄鋼は鍛圧機で予成形されます。そしてマニピュレーターが鋼鉄をレールに乗せて曲げプレス機に送り、そこで鋼鉄は仮曲げされます。ロボットコントローラーは、曲げプレス機のコントローラーから鋼鉄を取り出す指示を受け取るとすぐに、KR 350 にコマンドを送ります。KR 350 はそのグリッパーで、合計 42 種類のアクスルをハンドリングする能力を有していなければなりません。このハンドリング用プログラムは KR 350 のコントローラーに保存されています。このロボットの大部分は周辺からの悪影響要因から保護するために保護カバーを付けており、赤々と燃える鉄鋼をつかむとリニアユニット上を鍛造ハンマーへ向かって移動し、下型のリセスに置きます。第 7 軸となるリニアユニットの運動も、ロボットコントローラーが制御しています。

鍛造ハンマーの打数は、アクスルの形状と重さによって決まります。鍛造ハンマーが作業を終了すると、屋根付きレールにインストールされている別のマニピュレーターがアクスルをバリ取りプレスへ搬送します。このプレス機は、アクスルを自動的に較正プレス機へ落とします。もう 1 台のロボットがアクスルを引き取りキャリッジに乗せます。クレーングリッパーがキャリッジからアクスルを取り出し、冷却用スタンドに置きます。鍛造ラインの最終工程は、焼入れ、焼戻しおよびショットブラストなどです。

 

高い可搬能力

6 軸ロボットはハンドリングする際に、機械の中に約 2 m も手を入れなければならず、グリッパーの自重が約 100 kg もあることから、レバーアームには特に大きなフォースモーメントがかかります。これについてリーバーマン氏は「ロボットの要件としてもっとも優先度が高かったのは、高い可搬能力です。この投資を決定した時点に、必要とされる大きなリーチを持ちながらこれだけ重い物をハンドリングできるロボットは、KR 350 だけでした。」今では KUKA ロボット社 (本社アウグスブルク) の製品群に、よりパワフルで可搬能力 500 kg の KR 500 が加わっていますが、この鍛造ラインの作業には大きすぎます。

シェーネヴァイス社はさらに、許容誤差 1 ミリ以内の高繰返精度、100% 近い使用率および高い柔軟性を求めました。アクスルの種類が多いこともあって、柔軟性の高さは根本的な条件です。柔軟性と一口で言いますがこの言葉には、KUKA コントロールパネルには使い慣れた Windows 画面が採用されており新しいアクスルを容易にプログラミングできるという意味合いも含まれています。さらにシェーネヴァイス社は、サイクルタイムを短縮できる高速ロボットを希望していました。タクトタイムはアクスルのサイズと、サイズによって異なる誘導加熱炉および鍛造ハンマーでの加工時間によって決まり、KR 350 は通常 1 本のアクスルに約 60 秒を要します。この時間には曲げプレス機と鍛造ハンマー間の往復時間も含まれています。

 

派生メリット

シェーネヴァイス社は KUKA 社から直接ロボットを購入しました。生産ラインへの統合を行ったのは ラスコ・ウムフォルムテニーク社 (本社ドイツ・コーブルク市) です。同社は約 4.5 m 長さのリニアユニットとこのアプリケーション専用に作ったグリッパーも納入しています。このグリッパーには、アクスルの種類が多いことを考慮して、細い爪と幅広の爪が付いています。

それまで使用していたアンドロマートよりも新しいロボットの方が高速なため、シェーネヴァイス社の鍛造ラインの生産能力にはまだ余力があります。そのため、タクトタイムのより短い比較的小さめのアクスルの生産量を増やす場合には、スムーズに適切なハンドリングに切り替えることができます。処理量が増えるようなことがあっても、それはメリットでしかありません。シェーネヴァイス社にとっては、工程安定性が高まって合理化できる部分を合理化できることの方が大切なのです。

 

記者:ユルゲン・ヴァームボルト (フリージャーナリスト、27327 マルトフェルト)

発表日:

09.05.2001

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